今回の偉人は『沈黙の春』の著者であり、生物学者のレイチェル・カーソン
アメリカ合衆国のペンシルベニア州に生まれ、『沈黙の春』で農薬で利用されているDDTの危険性を取り上げ、アースデイや1972年の国連人間環境会議のきっかけを作り、人類史上においてはじめて環境問題を取り上げた人。
執筆のきっかけはDDTの散布をしてからいつもやってきていたコマツグミが次々に死んでしまったという、友人オルガーからの手紙で、いっさいの仕事を辞めて途中に癌宣告をうけながらも、農薬禍のデータを全米から集め、これを徹底分析して、そのすべてを綴った『沈黙の春』を書き上げました。そして書き上げられたこの本は当時の大統領であるケネディを動かし、その後の環境保護運動に啓蒙的な役割を果たしました。
またレイチェルは自分の時間がなくなってしまう前に、なんとしても自分が生涯を賭けて感じた「かけがえのないもの」を次世代に残しておく為に、姪の息子にあてる形で綴ったもう1つの本を残しています。
『センス・オブ・ワンダー』と題されたその本はレイチェル自身の言葉によると
「神秘さや不思議さに目を見はる感性」のことをいい、この感性はやがて大人になると決まって到来する倦怠と幻滅、あるいは自然の源泉からの乖離や繰り返しにすぎない人工的快感に対する、つねに変わらぬ解毒剤になってくれるものであるとしています。
そのセンス・オブ・ワンダーの大切さを子供たちに、また子供たちをもつ親たちに知らせたかった彼女はその本の締めくくりを93歳で亡くなったスウェーデンの海洋学者オットー・ペテルソンが息子に残した次の言葉を引いて終わらせています。
「死に臨んだとき、わたしの最期の瞬間を支えてくれるものは、この先になにがあるのかというかぎりない好奇心だろうね」